葦河への道
プロローグ
| ・そもそもの中国SLとの巡り合い あちこちのHPを探訪して辿り着いた羊肉（ヤンロウ）氏が主宰されているSteam in Chinaという ページを見て、あっと驚いた。そこには２１世紀の今でも大型のSLが現役で走っている鉄道があった。 それは中国東北部の双鴨山という炭鉱地帯を走る鉄道だった。そこには３０年前見た北海道夕張 炭山そのままの光景があった。 北海道は、若き頃に全ての時間と金と体力を注ぎ込んでＳＬを追いかけた思い出の土地だった。 Steam in Chinaのページを繰るほどに、中国に行きたい！！という強い願望に捕われた。 （ヤンロウ氏との一問一答） Q: と言うわけなのですが、私は中国に行くべきなのでしょうか？ A: 行かないと一生激しく後悔します。 Q: 初めてなので心細いのですが。 A: 最初は誰でもそうです。 Q: 冬の中国は寒いでしょうか？ A: 凄く寒いです。生半可な装備では確実に死にます。 それを聞いて、直ちに装備の調達を行うべく神田神保町に出かけたのだった。 （-７０℃耐寒靴、防寒帽子、ハイテク保温下着など、〆て●万円を使ったであろうか。） |
・日本出発 今回のスケジュールは、最初に３日間葦河森林鉄道を訪れ、継いで双鴨山に３日間滞在する予定 だった。 １月２０日（日）；新潟空港からの国際便はハルピン行きの臨時便の他３便だけだった。搭乗口は 里帰りの中国人で混みあっていた。山の様な土産を機内に持ち込もうとするが、片端から係員に阻止 され激しい押し問答を繰り広げていた。成●空港、いや何処の空港でもあまり見られない光景に、 早くも異郷の空気を感じた。 |
・機内にて 中国北方航空CJ６１６とは聞きなれないフライト便だったが、使用機材はA300で快適だった。 A300は新潟空港を定刻に離陸し、一路ハルピンを目指して順調に飛行を続けた。 さて、お待ちかね(?)の昼飯タイムとなった。 あ〜っと！！乗務員がトレーをひっくり返した！！（それは私の食事ですけど・・・） 無愛想な表情の乗務員は、全く動じること無く床に散らばった飯を集めると隣の椅子ポケットに 押し込み、何事も無かったようにそのまま行ってしまった。 お〜い・・・、私の昼飯はどうなるんですかあ？？ ・窓を覗けば なんとか替わりのウドンをもらい、ふと眺めると窓の外に何か長い糸のようなものが挟まっていた。 もしかして、あれは長〜い髪の毛、たぶん女の髪だ・・・。 何だってあんなものがこんなところに挟まっているのだろう？ 飛行機の二重ガラスの間に挟まった女の髪の毛、牡丹灯篭の呪いなのだろうか。 頼むからハルピンに無事に着いてくれ〜！！ ・ハルピン到着 ハルピンに無事に着いた。日本で散々脅かされた入国審査と税関は拍子抜けするほど簡単だった。 しかし密かに心配していたとおり、空港にはガイドが居なかった。 お〜い・・・、私はこれからどうなるんですかあ？？ |
・いよいよ葦河に出発 ２０分ほど待たされガイドの史さんと運転手の孫さんが到着した。（このコンビは最後まで少しづつ 時間に遅れたが、日本語がとても堪能で私の望んでいることを良く察し、３日間が素晴らしい 撮影旅行になった。） 最初の目的地は葦河森林鉄道だった。 （ガイドの史さんとの一問一答） Ｑ：葦河は何処にあるのですか？ Ａ：ハルピンから東へ２００ｋｍ、牡丹江までの道の真中あたりです。 Ｑ：史さんは日本語がすごく巧いですね。 Ａ：大阪に５年ほど居ました。ＳＬ撮影のガイドも経験があります。 Ｑ：葦河（ウエイホー）ですか？ Ａ：いいえ、南岔（ナンチャ）です。大型の前進型ＳＬが三重連で次々ときて凄い眺めでした。 Ｑ：今でもありますか？ Ａ：完全に無煙化されてハルピンにＳＬは１台もありません。来るのが遅すぎましたね。 ・スプラッタ チャーターした自動車はかなり年式の進んだサンタナだったが、高速道路を快調に飛ばした。 いきなり渋滞にぶつかった。町の明かりも無い真っ暗な山道でノロノロ運転が続いた。 「これは事故ですね。」 やがて大勢の人間と車が高速道路上で騒いでいる場所に差し掛かった。 路上にスリップの跡があった。その先 に千切れたサンタナの後半分がガードレールに引っかかっていた。その先には・・・・・・・・・・ ゴロリと"The.Body"「人体」が横たわっていた。 その先にもう一体、更に一体、頭から流出した血が路面を染めているが見えた。 「・・・死んでますね。」 「全員死亡ですね。道路が凍結してるから気をつけていきましょう。」 お〜い・・・、私の命、葦河に着くまで死なないでくれ！！ |